思い出をなぞりてみれば胸痛し 永遠(とわ)に美し失いし恋
照滴006
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要点
現代語訳
注釈
永遠に美し失いし恋:時間の経過と共に失われた恋は美しく感じる。 失われた恋は、無常によって永遠に手に入らないが、それゆえに記憶の中で永遠の美しさを保っている 解説
深掘り_嵯峨
失われたものへの執着と無常の美学を詠んだ歌です。恋が「永遠に美しい」のは、それが「失われた」という無常の試練を経ているからです。手元にあるものは変化し、やがて朽ちますが、失われたものは「思い出」という時間の枠外に固定され、美しさを保ち続けます。 この歌の「胸痛し」という生の感情は、永遠の美しさという哲学的な諦念とセットになっており、人間的な情念と無常観が混在する、切なくも深い一首です。